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運命の恋、不器用な愛 最終話
2005年 12月 02日
長編にもかかわらず、たくさんの方にお読み頂き、コメントして下さって本当にありがとうございました。
そして小説を素敵なスキンで盛り上げて下さったいっちゃんさん、どうもありがとうございました。 近日中に小説とスキンのまとめ記事を上げさせて頂きます。m(_ _)m お読み下さる方は、恐れ入りますが↓を先にご覧の上、第1話からどうぞ。 「運命の恋、不器用な愛」をお読み下さる方へ ユノンはテスを抱き、ジョンスと一緒に1年半ぶりに実家の敷居をまたいだ。 母はユノンの手を取るようにリビングへ招き入れた。 ジョンスとユノンは両親の前に立った。 「お父様、お母様、ジョンスさんが戻りました。」 父はソファから立ち上がり、ジョンスの顔をいきなり殴った。 「お父様、何をなさるの!」 ユノンは驚いて床に倒れたジョンスにすがろうとした。だが父はユノンをどかし、ジョンスの胸ぐらをつかんで立たせた。 「おい、どうして今頃帰ってきた!ああ?なんで今頃なんだって聞いているんだ!」 胸ぐらをつかんだ腕を揺らし、父は激しくジョンスに詰め寄った。 「あなた、どうなさったの!」 母が驚いて止めようとしたが、意にも返さず父はジョンスを睨みつけた。 ジョンスは落ち着いて口を開いた。 「申し訳ありません。私のけじめをつけさせてもらいました。」 「けじめだと?お前が出ていった後に分かったことだぞ?おい、てめえの息子より大事なものがあるのか!」 「うわ~ん!」 父の大声にテスが泣き叫んだ。ユノンが一生懸命なだめたが、異様な雰囲気を恐がり泣き続けた。父とジョンスのただならぬ様子が気になったが、仕方なくユノンは別室に行き、テスを落ち着かせることにし、母もついていった。 父はジョンスの胸ぐらをつかんでいた手を離し、ソファに座り、タバコに火をつけた。ジョンスは床に正座した。 「そんなところに座るな。」 「はい。」 ジョンスはソファに座り直した。父はタバコの箱を差し出し、ジョンスに1本取らせ、ライターを投げた。ジョンスは投げられたライターを受け取り、タバコに火をつけた。 「ごほっ、ごほっ。」 一服吸うと、咳が出た。 「どうした。」 「すんません、タバコ、2年ぶりなんです。」 「やめたのか。」 「はい。」 「・・・。」 ジョンスは父にタバコを渡され礼儀として吸ったが、2年ぶりに吸うタバコに頭がクラクラしてきた。 「無理に吸わなくていい。」 「すいません。」 ジョンスはタバコを揉み消した。 「なんでやめたんだ。」 「金かかるんで。」 「・・・ああいうところの男はほとんど吸っているだろう。」 「はい、ほとんどが喫煙します。」 「・・・。」 父はタバコをたっぷり3本吸い終わるまで無言だった。ジョンスはやや俯いて黙っていた。 タバコを何度も灰皿に押しつけるように消すと、口を開いた。 「どうして俺が帰ってこいと言っても帰らなかった。」 「あの時帰っても・・・」 「あの時って?帰ってこいって何ですか?」 いつのまにかユノンが後ろに立っていた。機嫌の良くなったテスを母に預け、リビングに来たのだった。 「・・・。」 「お父様、どういうことですか!?」 ユノンが強い口調で言うと、ジョンスは立ち上がり、ユノンの肩を抱いてソファに連れてきて座らせた。 そしてユノンの目を見て言った。 「・・・テスが生まれてから、お父様は俺に仕事を辞めて帰ってくるように言って下さっていたんだ。何度も電報や手紙、お母様が撮って下さったテスとお前の写真も送って下さった。だけど俺はその度に断り、自分で納得出来るまで帰るつもりはなかった。君にもお父様、お母様にもその分余計辛い思いをさせてしまって申し訳なかったと思っている・・・。」 「そうだったの・・・。」 「ジョンスは意地でも帰ってこなかった。」 父が憎々しげに言うと、ユノンは父の方を向いて言った。 「よかったわ。」 「え?」 「お父様、私とテスのことを考えて、ジョンスさんに連絡して下さったこと、とても感謝しています。テスが生まれたから、とジョンスさんが帰ってきていたら、私すごく嬉しかったと思う。・・・だけど多分追い返していたわ。」 「何?」 「ユノン・・・。」 「だから、よかった。」 父はユノンの言葉を聞いて、タバコをふかし、ソファに体を投げ出して天井を仰ぎ見た。 「いつからお前はそんな風になったんだ・・・。」 ジョンスはユノンを愛しげに見つめた。ユノンもジョンスに微笑んだ。 「お前たち、一緒に暮らしてないのにバカみたいに似たもの夫婦だな・・・。」 「お父様・・・!」 初めて父が自分たちを認めてくれた言葉だった。ユノンの瞳から涙がこぼれた。 「ママ~!」 「あなた・・・。」 テスと母もいつしかユノンたちの後ろに来ていた。テスは機嫌良くお気に入りの車のおもちゃを持ってユノンのところに走ってきた。 ユノンはテスを抱きとめ、涙を拭いて父の前に立った。 「お父様、テスは1才になりました。わがままをお許し下さってありがとうございます・・・。」 「ありがとうございます。」 ユノンとジョンスは頭を下げた。母も涙ぐんで立っていた。父の瞳にもわずかに光るものがあった。 「ママ!ぶ~ぶ、ぶ~ぶ!」 テスが車を見せようとユノンの目の前にもみじのような手を差し出した。 「よし、テス、もっと大きな車を見せてやろう。おいで。」 父はテスを抱き上げて車庫に連れて行き、自慢の車に乗せてやり、その姿を家族が見つめた。 ジョンスは寄り添うように立っていたユノンの手を握った。その手は2年前と同じように熱かった。 ~3ヶ月後~ ジョンスが残業で少し遅くアパートに帰ってくると、ユノンとテスは風呂に入っていた。 「おかえりなさい!もう少しだから待ってて。上がったらすぐにお食事の用意するわね!」 「ああ、ゆっくりでいいよ。」 今夜あたりからだいぶ冷えてきて、帰る時にはすでにかなり寒かった。風呂から上がったらテスはすぐに寝てしまうため、ジョンスは冬用の厚い掛け布団を出してやろうと押し入れを開き、3枚出そうとした。 バサリ、と布団の奥から小さな段ボール箱が落ち、中からたくさんの手紙が出てきた。戻そうと手紙を拾い集めると、すべての封筒に「ジョンスさんへ」という文字と日付がユノンの字で書いてあった。ジョンスは思わず手にした1通の封を切った。 “ジョンスさん、ソウルでもかなり寒くなってきましたが、そちらは冷えませんか。風邪は引いていませんか。今日は病院へ行きました。順調に育っていると言われて安心しました。毎日あちこちと動き回っているのに、この子はお腹の中でおとなしくしてくれていて、私を困らせるようなことはしなくてとてもいい子です。仕事を見つけるのは大変ですが、ジョンスさんも頑張っているので、頑張りますね。お休みなさい。” ジョンスは次々と封を開き、読み続けた。 “ジョンスさん、お仕事頑張っていますか。私は仕事が決まって安心しました。母子寮は寮費が安いとは言っても、生活費はばかになりません。子どもにもいろいろとお金がかかるし、今までお金の苦労をしたことがない私は恵まれていたんだな、と思いました。そして、ジョンスさんがどんな思いでお金を払ってきたのか・・・私はあなたの気持ちをよく分かってなかったと思って申し訳ない思いがします・・・。” “1週間以上手紙を書く時間が取れなくてごめんなさい。子どもって本当に大変!まさかこんなに寝かせてくれないとは思いませんでした。特に男の子は小さい時大変だって言うけれど、女の子のお母さんとお話しするたびにそれは感じます。夜なんて2時間も抱っこして、寝たと思って布団に置くと泣き出すのよ!そしてまだ抱っこ・・・。その繰り返しが3日続いたら、こっちが泣き出してしまいました。でも、本当にテスは可愛い・・・。早くジョンスさんにも見て、抱っこして欲しいです。写真いっぱい撮るからね。” “健診に行ってきました。保健所の保健師さんは皆さん優しいけれど、新しく来た方がテスのカルテを見て、「お父さんはいないの?」と大きな声で言いました。周りのお母さんのうち数人が私とテスを汚らわしいものでも見るかのように見て、悔しかったです。「お父さんはいます!」と言いたかったけれど、それならなんでカルテに書いていないのか、とかいろいろと聞かれて、結局「結婚の届け出も認知もしていないならいないってことですね。」と毎度のように言われるだけだと思って我慢しました。出産前から今までずっと、病院や役所や、公園や買い物に行った先やらいろんなところでテスのお父さんがいないことを指摘されたり、不審そうに思われたりすることが時々あって、悲しいです。あなたがいれば、テスを愛してくれるのはわかっていることなのに、ほんの数年待っていればいいだけなのに、言われるたびに悔しくて、動揺してしまって、テスが不安になってしまったら、と後から反省して・・・。こんなに自分が弱いとは思いませんでした。あなたを愛してあなたの子どもを産んで、幸せなはずの私が・・・。ごめんなさい、こんな愚痴ばかり書くはずじゃなかったのに。シナと母だけじゃなく、他にもテスを愛してくれる人が増えてきて、いつもは楽しく過ごしています。でも今日だけは許して・・・。” “ここ3日、テスが高熱を出して大変でした。37度台の熱はあったけれど、40度以上の熱が出て、苦しそうにしているテスを見るのは忍びなかったです。病院に行ってもこれくらいなら入院しなくてもいいって言われるし、シナと母も来てくれたけれど、本当に具合の悪い時は私以外ダメなので、ずっとテスを抱っこしていました。・・・怖かった。テスがぐったりとして私の胸に顔を埋めた時、テスがやっと少し飲んだおっぱいさえも吐いた時には、どうしたらいいのかわからなかった・・・。ジョンスさんがいてくれたら、ってこんなに思ったことはありません。どんな子でも高熱くらい出すのに、取り乱してしまった自分が恥ずかしいです。あなたが頑張っている時にしっかりとテスを守れなくてはあなたに顔向け出来ないわね。でも・・・怖かったです・・・。“ そして、特に厚い手紙を手に取った。その手紙だけは切手が貼ってあった。 ”今、テスはお昼寝しています。今日はシナも母も来なかったから、二人で過ごしていたの。・・・(中略)・・・どんなに書いても、言葉が上滑りしているみたい・・・。今まで何百通の手紙を書いたのかしら。私、決して出すことのないこの手紙に一度も本当の気持ちを書かなかった。・・・淋しい。どうしようもなく今日は淋しいの・・・。テスと二人でいると、一人きりだったときよりも淋しさを覚えてしまう時があるの・・・。あなたが行ってしまってからテスが生まれるまで、どんなに泣いたかわからない。でもあの時はまだ耐えられた。自分一人でいるよりもテスといる方が辛いだなんて思いもしなかった。テスの成長をあなたといっしょに喜べないこと、母にもシナにも虚勢を張っていること、私の気持ちにお構いなしで泣いているテスといること・・・。テスが寝てくれないとき、具合の悪いとき、危ないことをしたとき、どれも辛かったけれど、何よりもあなたがそばにいないことが、こんなにも淋しいだなんて・・・。淋しい、淋しい、淋しい、淋しい、淋しい・・・。どうしてあの時あなたを止めなかったのか、私も一緒に働くから行かないで、とどうして言えなかったのか、こんなにあなたのいないことが私の心にすきま風を吹かせるなんて、どうして分からなかったのか・・・。あなたが2,3年で戻ってきてくれることは分かっているはずなのに、1日1日が辛く、淋しい・・・。夜テスと二人きりになると、よくないことばかり考えてしまったり、いっそあなたのもとへ行こうかと思ったり・・・。こんなに夜が長いなんて知らなかった・・・。淋しいって言葉の意味を、あなたと出会って知ってしまった・・・。今までそんな自分を認めたくなくて、手紙には一度も淋しいと書かなかった。でも・・・会いたい、会いたい、今どうしようもなくあなたに会いたい・・・。” ジョンスは唇を噛みしめ、“淋しい・・・。”の文字が見つめた。 「ごめんね、お待たせしました。今日はたくさん遊んだから、テスはソファで寝ちゃったわ。ご飯出来ているから・・・。」 ユノンが話しながら寝室に入ってきたが、布団を中途半端に出したまま、ジョンスはドアに背を向け、俯くように座り込んでいた。周りには手紙がばらばらと落ちたままになっていた。 「ジョンスさん、見ちゃったの!」 ユノンが慌ててジョンスの傍に行くと、周りには開封した手紙が数通置かれ、ジョンスは数枚の便箋を握りしめていた。 「やだ、恥ずかしいわ。見せないつもりだったのに。さっさとゴミに出せばよかったわ。」 ジョンスの顔を見るのも恥ずかしく、大急ぎで手紙をかき集めようとすると、ジョンスはユノンの手を握り、強く引いて自分の方へ抱き寄せた。そして息が出来ないほどに抱きしめた。 「ごめん・・・。」 ジョンスはかすれた声でユノンの耳元で謝った。 「どうしたの?なんで謝るの?」 強く抱きしめられて苦しそうな声で答えた。 「一人にしてごめん・・・。」 「急にどうしたの?何を読んだの?」 「お前が苦しんでいる時に一緒にいられなくてごめん・・・。」 「私一人じゃなかったって言ったでしょ・・・。」 「バカだな・・・。」 ジョンスはユノンの頬に自分の頬を寄せた。 「これからは全部言えよ。俺に恨み言の一つも言ってくれよ。」 「恨み言なんて・・・。あなたが戻ってくれて、全部融けてしまったわ・・・。」 「意地っぱりだな。誰に似たんだよ。」 「ふふ、あなたに似たのよ。」 ユノンが少し笑った。 ジョンスはユノンの手を取り、見つめた。そして抱きしめ、大きな手のひらでユノンの髪をなでた。 「俺の前では素直になれよ。」 「うん・・・。」 「今、分かったよ。」 「何?」 「俺が生まれた意味・・・。」 「・・・。」 「お前は俺の誇りだ。もうお前を悲しみで泣かせることはしない。・・・愛している・・・。」 ユノンの瞳に涙が溢れ、ぽろりとこぼれ落ちた。その宝石のような涙を太い指が優しく、愛しげに拭った。 (END)
by yumi-omma
| 2005-12-02 14:15
| 小説
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