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運命の恋、不器用な愛 第8話
2005年 11月 21日
お読み下さる方は、恐れ入りますが↓を先にご覧の上、第1話からどうぞ。
「運命の恋、不器用な愛」をお読み下さる方へ ジョンスが次の朝、仕事に行く直前、ミギョンが来た。 「ジョンス、話があるの・・・。」 「ミギョン、俺も話がある。ただ今は時間がない。悪い、仕事が終わってからにしてくれ。」 ジョンスはミギョンの顔をちらっと見ただけでそう言うと家を出ようとした。その時、ミギョンが口を押さえて、トイレに駆け込んだ。 驚いたジョンスがミギョンの様子を見ると、ミギョンは吐いていた。 「どうした、大丈夫か!」 ジョンスは背中をなでてやった。やがて吐き気のおさまったミギョンは、腹を押さえてうずくまった。 「腹が痛いのか?」 ミギョンはわずかに頷き、そこに倒れ込んだ。 「ミギョン!」 ジョンスが呼んでも、ミギョンはかすかに返事をするだけだった。 ジョンスはミギョンをおぶい、キム医師の診療所に駆け込んだ。 キム医師はミギョンを診察しながら訊いた。 「前に月経があったのはいつだ。」 「・・・3ヶ月前・・・。」 待合室で待っていたジョンスにも聞こえた。ジョンスは目の前が真っ暗になるような気がした。 やがてキム医師が出てきた。 「簡単な検査では妊娠の陽性反応は出ておらん。だが万一ということもある。今すぐ産婦人科へ連れて行け。」 「今すぐ?」 「妊娠してて腹が痛かったら大ごとだ。」 「わかった。車を貸してくれないか。それから電話も。」 ジョンスは電話を借り、棟梁のところに掛けた。 「棟梁、申し訳ありません。今日午前だけ休ませて下さい。」 「ジョンス・・・。わしも連絡しようと思ったところだ。悪いが、今日から現場に来るな。」 「どういうことですか!」 「・・・あのお宅のお嬢さまと何かあったんだろう?とりあえず今は時間がない。今夜ゆっくり話そう。」 そう言って棟梁は電話を切った。ジョンスは呆然とした。 キム医師が車の用意をしてきた。ジョンスは棟梁が言っていたことが気になったが、ミギョンを抱きかかえ、車に乗せて、病院へ向かった。 産婦人科の待合室は居心地が悪かった。ミギョンは一人診察を受けている。いたたまれない気持ちで待っていると、ジョンスも呼ばれた。 ミギョンのいない診察室に入ると、医師が言った。 「今ミギョンさんは点滴を受け、眠っています。昨夜あまり寝ていないようですね。妊娠の兆候はありません。おそらくストレス性の胃炎と過労が重なったのかと思います。月経が止まっていたのもストレスのせいでしょう。ゆっくりと休ませてあげて下さい。」 「先生、ありがとうございます。」 ジョンスは妊娠していないと知ってほっとした。だがミギョンがそれほど苦しんでいたのは、自分のせいだということは明白だった。仕事のこと、ミギョンのこと、ユノンのこと・・・。ジョンスの心は暗かった。 点滴が終わり、薬をもらってミギョンをアパートまで送ってやった。食べ物と飲み物を用意してやり、タオルを当ててやると、ミギョンが薄目を開けた。 「ジョンスがこんなに優しくしてくれるなら、私ずっと病気でもいいな・・・。」 ジョンスは何も答えず、ミギョンから目をそらした。 ミギョンはそんなジョンスの顔を見るのが辛く、また目を閉じた。 ユノンは朝から落ち着かなかった。工事の作業員が来ても、ジョンスの姿が見あたらなかった。だが母の視線が気になり、棟梁たちに訊くことが出来ない。母が午後出掛けた時に、そっと棟梁を呼んだ。 「棟梁さん、今日ジョンスさんはどうしたんですか?」 「お嬢さん、ジョンスはもうこの現場には来ません。」 棟梁の表情は暗かった。 「どういうことですか!」 ユノンは驚いた。 「もうここの仕事に人はそれほどいらんのです。ジョンスはほかの現場にやりました。」 棟梁は今朝早くにユノンの母から電話があり、ジョンスを来させないように言われたのだった。その時、自分が電話を掛けたことをユノンに言わないように口止めされていた。 「・・・そうなんですか・・・。」 落胆した様子のユノンを見て、棟梁は可哀想になった。ユノンとジョンスが惹かれ合っていたのは、自分はよく知っていた。身分違いだとは分かっていたが、自分の気に入りの弟子と、愛らしいお嬢さんの恋が可愛らしく、心の底では応援してやりたい気持ちだった。だがユノンの親たちがジョンスとユノンを付き合わせるのを許容出来ない気持ちも分かっていた。 ユノンは部屋に戻ったが、部屋でただジョンスを案じているのは耐えられなかった。それに今朝になって考えてみると、ジョンスとミギョンの関係がとても気になってきた。ミギョンは本当にジョンスを愛しているようだった。一度気になり出すと気持ちが止められなかった。だが昨夜ジョンスとのことが両親にばれ、母はユノンが行き先を告げずに出掛けるのを嫌がっている。出掛けようか迷ったが、出るならまだ母が買い物から帰らない今しかないと思い、ユノンは思い切って家を出た。どこかで仕事しているとは聞いたが、数時間で帰るはずと思い、ジョンスのアパートの近くまで行くことにした。 ジョンスのアパートの前まで来ると、なぜか家の中に人の気配を感じた。ユノンは思い切って戸をたたいた。 「誰?」 戸が開くとジョンスが顔を出した。ユノンを見てジョンスは気まずそうな顔をした。 「ジョンスさん・・・。どうしてこんな時間にアパートにいるの?」 ユノンはジョンスがいて、驚いた。 「ああ、ちょっと・・・。入って。」 ユノンはジョンスの部屋に入った。 ジョンスはユノンに座るように言うと、お茶を淹れ、ユノンの前に座った。 「ユノンこそどうしてここへ?」 「今日ジョンスさんが来てなかったから、棟梁に聞いたら現場が変わったって・・・。でも何となく気になって来てみたの。それに聞きたいこともあったし・・・。」 「聞きたいことって?」 「ううん、それはあとでいいの。それよりどうして?」 「ああ、今日はちょっと友達が具合悪くして、そいつを病院に連れて行ったりしてたもんだから。」 「友達って・・・もしかしてミギョンさん・・・?」 ユノンは思わずその名前を口にした。 「・・・ああ。」 二人は沈黙した。だがユノンはこれ以上自分の心にためておけなかった。 「ミギョンさんって・・・。」 「・・・ごめん。実は・・・。」 ジョンスは視線を落とした。 「ミギョンとはあの事件以来付き合っているような関係だった。でも君と出会ってミギョンを本当に愛していたわけじゃないとわかった・・・。」 ジョンスは辛そうに少し唇をかみしめた。 「少し時間をくれないか。勝手なことを言っているのは分かっている。今日、ミギョンは胃炎で倒れた。俺のせいなんだ・・・。彼女には辛い思いをさせて申し訳ないと思っている。でももうミギョンとは一緒にいられない・・・。だから・・・少し待ってくれないか・・・?」 ジョンスは切なそうな瞳でユノンを見つめた。 「ええ・・・分かったわ。でもどれくらい・・・。」 「それは分からない。他にも少しあって・・・。ごめん・・・。」 「私、またここに来てもいい?」 「ああ、だけどいついるかわからないから・・・。あ、ちょっと待ってて。」 ジョンスは鞄の中から鍵を出した。 「これ、持っててくれ。俺のいない時は入っていてくれないか。」 真鍮の古めかしい鍵が鈍く光った。 「ありがとう。」 「・・・俺、鍵を誰かに渡したのは初めてだから・・・。」 ジョンスはユノンに背を向けて言った。 ユノンは鍵を握りしめてジョンスの背中に顔を埋めた。 ユノンが帰ってしばらくすると、棟梁が来た。 「ジョンス、今日は悪かった。」 棟梁が床に座り、頭を下げた。 「棟梁、頭を上げて下さい。俺が悪いんですから。」 「お前とお嬢さんの気持ちは俺はよく分かっている。だがな、お嬢さんのご両親が到底納得出来ない気持ちも分かるだろ?」 「はい・・・。」 「これ以上波風立てるのはお前にとっても良くないと思った。だから明日以降もあの現場には入れてやれねえ。」 「分かってます。」 「・・・今はなかなかいい大工仕事がねえよ。俺も知り合いのところにいくつか当たってみたがダメだった。今の現場はもう少しで終わる。悪いがそれまでつなぎと思って、別のことやっててくれねえか。道路の夜の仕事ならいくつかアテがあるんだが。」 「棟梁、ありがとうございます。ですが俺、前棟梁に聞いた、アレ行ってみたいんです。」 「アレって・・・あのトンネル建設か?お前、本気か!」 「本気です。」 アレというのは、数週間前に棟梁が休憩中に話していたトンネル建設のことだった。棟梁が若い頃世話になったことのある、大手ゼネコンの現場監督がこれから入る予定のトンネル建設のことだったが、そこはかなり面倒な現場で、人手が大幅に足りないという話だった。まず、工期が短いため朝晩ずっと、その上休日もなしの突貫工事になるということ、それから現場の山は崖崩れが多いところで、作業すべてに通常以上の危険が伴うということ。 家の建築とは桁違いの話に、はじめ聞いた時は驚いたものだった。 「だがお前、あそこは本当にきついぞ。何が起こるか分からんぞ。」 「分かってます。」 「・・・金か・・・。」 「・・・はい。」 「確かにあそこなら今の仕事の2倍は出るだろう。残業代なんかも出るしな。だが・・・。」 若い頃トンネルや橋、鉄道建設の現場の下っ端仕事もやったことのある棟梁は、現場のきつさを知っていた。 だがジョンスの決意は止められなかった。 「分かった、話通しといてやるよ。」 「ありがとうございます。」 「お嬢さんには言うのか?」 「いや、詳しいことは言いません。心配させるだけですから。親方も言わんで下さい。頼みます。」 「ああ・・・。」 「それから棟梁、もうひとつお願いがあるんです。」 ジョンスは言いにくそうに言った。 「何だ。」 「金、前借り出来るか聞いてもらえませんか。」 「金?いくらだ。俺が貸してやってもいいぞ。」 「すんません、ありがとうございます。でも金額が・・・。」 「どれくらい必要なんだ。」 「給料1年分くらい・・・。」 「何だって!なんでそんな大金・・・。」 「ミギョンに・・・。」 「・・・ミギョンか、そうか・・・。分かった。それも話してやるよ。俺が保証人になれば貸すだろう。」 「何から何までありがとうございます。」 「帰ってきたら、必ず俺のところに戻って来いよ。」 「はい・・・。」 ジョンスは涙を流した。 次の日また棟梁がジョンスの家に来た。 トンネル建設の現場では、少しでも土方仕事を知っている男は誰でも欲しがっていた。2週間後には現場入りが決まった。そして棟梁の信用で、金もすんなり貸してもらえた。 数日後、ジョンスの部屋にミギョンが来た。 体調はかなり良くなり、ミギョンは明日から仕事に戻ると言い出した。 ジョンスは明るく話しているミギョンを見つめて言った。 「ミギョン、話がある。」 (続く)
by yumi-omma
| 2005-11-21 21:18
| 小説
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